警察や軍のオペレーションを支援するデジタルフォレンジック(電子鑑識)大手のCellebrite(セレブライト)は6月5日、iPhoneの仮想化技術で知られるフロリダ州のスタートアップCorellium(コレリアム)を2億ドル(約288億円。1ドル=144円換算)で買収したと発表した。この大型合併により、法執行機関が押収した電子機器からデータを抽出するための、かつてないツール群が提供されることになる。
コレリアム創業者のクリス・ウェイドにとって、大きな成功
この買収は、コレリアムの創業者兼CTOのクリス・ウェイドにとって大きな成功といえる。彼はこの5年間でアップルからの著作権訴訟を和解に持ち込んだほか、2000年代半ばに関与したサイバー犯罪に関してもトランプ大統領から恩赦を受けている。ウェイドは刑務所入りを免れ、その後は米司法省のために潜入捜査に従事した。
ウェイドは今後、セレブライトの最高技術責任者(CTO)として新たなキャリアをスタートさせる。ナスダックに上場するセレブライトの時価総額は40億ドル(約5760億円)で、2024年の売上は4億ドル(約576億円)を超えている。買収額の内訳は、現金が1億5000万ドル(約216億円)、譲渡制限付き株式が2000万ドル(約28億8000万円)、さらに今後2年間の業績目標の達成に応じて支払われる3000万ドル(約43億2000万円)とされている。
「私たちは何年も前からコレリアムの製品を使ってきた」と話すホーガンは、今年初めにウェイドが会社の買い手を探していることを知ると、即座に交渉に乗り出し、最終的な受け皿になることを目指したという。
ウェイドは、毎年150万件の法執行機関の捜査で使用されるツールを開発したセレブライトに参加できることに興奮していると語った。「これは驚異的な数字だ。現実世界に与えるインパクトを想像してみてほしい。そういうものに関わりたかったんだ」と、彼はフォーブスに語った。