教育

2025.06.08 08:00

語学アプリで本当に外国語を習得できるのか? 言語学習の達人はこう使う

Shutterstock.com

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人気の語学アプリがゲーム化されているおかげで、外国語学習が以前より簡単になったように感じられる。実際、表面的には、海外に行く前に現地の言葉を学習して準備しておくことが以前より容易になっている。

しかし、本当にアプリで外国語を習得できるのだろうか? 語学アプリを使って外国語をすらすらと話せるようになりたいなら、どんなことに注意すべきか、語学講師や多言語話者など、語学の達人に話を聞いた。

練習していないことを正当化するのは簡単

旅行関連の評価サイト「ユーゴースノー」を立ち上げたオリー・リンチは、「外国語を学ぶということは実際に人と話すことに尽きるが、あまりにも多くの人が語学アプリの陰に隠れてしまっている」と指摘。「アプリは役に立つ道具であり、すでに学んだことを強化するのには優れている。結局のところ、語学アプリは写真共有アプリのインスタグラムやニュースサイトを延々とスクロールするよりは良いものだ。だが、語学アプリのデュオリンゴで特定のレベルに達するまで、あるいはピムスラーで特定のモジュールを完了するまでは、準備ができていないという考え方に陥りやすい」と説明した。

語学アプリで全体像は描けない

リンチは次のように続けた。「例えば、デュオリンゴだけを使ってある一定のレベルの自信を得ることは期待できないだろう。オンラインコースや授業、教科書など、実際に勉強して自分の語学力を試してみることに代わるものはないからだ」

外国語学習で人間の教師が必要になる時

英語教師であるジャー・デラロサは次のように述べた。「本当の深い学習は、第三者が関与することから始まる。第三者とは、アルゴリズムではなく人間だ。人間の教師が必要になるのはここだ。語学アプリを使えば、確かに語彙(ごい)を増やしたり発音を矯正したりすることはできる。けれども、アプリは場の空気を読んだり、授業中にやり方を変えたり、生徒がイライラしたり混乱したりした時に共感を持って対応したりすることができない。第2言語としての英語教授法では、単に言語を教えるのではなく、自信や対人関係、文化的理解など、アプリでは提供できないものを育んでいる」

語学アプリでは実際に街で使われている言葉を学べない

5カ国語を操る作家のリー・シュルマンは、こう説明する。「他の人の話を聞くことで、慣用句や自然な話し方を学べると分かった。たとえ私がすべてを理解できなくても、トーンやリズムをつかんでいるため、ネーティブスピーカーは私の言っていることを簡単に理解してくれる」

語学アプリは良い補助教材になる

先述のリンチはこう語る。「私の個人的な経験では、まず教科書やランゲージポッドのようなオンラインコースを使って学習する。基礎レベルに達したら、タンデムやアイトーキーといった言語交換アプリを使って友達を作り、ぎこちなくても自分の知識を試してみる。そして常に新鮮さを保ち、進歩をゲーム化するためにデュオリンゴを併用する」

語学アプリは習慣の形成にも役立つ

デラロサは次のように結んだ。「語学アプリは素晴らしい補助教材だ。魅力的かつ便利で、日々のやり取りを通じて学習を強化してくれる。とはいえ、アプリは本物の教師の代わりにはならない。英語学習とは単に単語を暗記することではなく、実在する人たちとリアルタイムに、文脈の中で言葉を使うことを学ぶのだ。その機会を与えられるのは、本当に優れた英語教師だけだ」

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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