Jリーグ創設期から国内のサッカー人気をけん引し、現在は総合スポーツクラブとして複数の競技チームを運営する東京ヴェルディ。2020年12月に代表取締役社長に就任した中村考昭に長く勝ち続けるクラブをつくるうえで、大切にしている経営哲学を聞いた。
プロスポーツビジネスは制約が多いビジネスモデル。だからこそ組織運営を誰がどう進めていくか、「人」が最大の差別化要因になると中村考昭(以下、中村)は話す。リクルートでの広告営業、A.T.カーニーでのコンサルティング経験を経て、スポーツマーケティング領域でキャリアを重ねてきた中村は2020年12月、経営難に陥っていた東京ヴェルディの代表に就任した。
「サッカーのルールはもちろん、年間の試合数、試合の開催場所、ユニフォームに掲出できる広告の数、位置、大きさなどあらゆる条件が決められています。『チケット収入の収益性が高いから試合数を増やして収益を上げようとか、試合を自らオンライン配信しよう』などと自由に動くことが難しいのは、スポーツ産業のビジネスモデルならでは。クラブ経営側にできることは、選手のパフォーマンスを高め、彼らを支えるフロントスタッフのモチベーションを引き出すための最適な環境を提供し続けることです」
長くJ2に沈んでいたクラブは、2023年シーズンで16年ぶりにJ1復帰を果たし、24年シーズンを6位で終える躍進を遂げた。その背景には、「できることは手当たり次第変えてきた」というさまざまな取り組みがあったという。
「フロントスタッフの配置転換も大胆に進めてきましたが、何よりも力を入れたのは選手のパフォーマンスにつながる基礎の部分。トレーニングジムの環境を整え、練習の前後に提供する食事のメニューも大幅に改善させました」

パフォーマンスアップの根幹とも言えるジムは、オリンピック・パラリンピックの公式サプライヤーとして知られるTechnogymと提携を進めてきた。ACミランなどのビッグクラブも導入している世界トップレベルのトレーニング環境を用意することは、選手のメンタル面にも大きな影響を与えているという。
「トレーニング機器としてのクオリティに加えて、スタイリッシュな見た目が生み出す洗練された空間デザイン。そのなかで体づくりができることで、選手たちのトレーニングに対するモチベーションが高められ、パフォーマンスの向上にもつながってきます。空間がもつ価値にも投資することは、スポーツビジネスにおいて欠かせない経営判断だと考えています」
セルフモチベートできる組織で、街のウェルネスを実現させていく
心と体の充実(ウェルネス)は、事業を支えるフロントスタッフにとっても重要なテーマだ。多種多様なエンターテインメントがあふれるなか、スポーツがもつ最大の魅力は「台本のないノンフィクションであること」。試合が始まれば、どんな結果になるのか誰にもわからない。スタッフたちも結果が予測可能な範囲を超えて一喜一憂できる点で、「ウェルネスを提供し、自分たちも享受できるビジネス」なのだという。
「だからこそ、すべてが人に帰結する難しさがあります。選手がモチベートされてパフォーマンスを発揮できれば最高の結果につながりますが、能力やポテンシャルがあっても、それを引き出せなければ逆の結果になっていく。そんな産業特性ゆえに、私が目指したいのは、スタッフ一人ひとりが勝ち続けるクラブを“つくっていく”組織です。仕事の機会を待っているのでなく、自分からつくりに行ける、セルフモチベートできる人の集まりにしていきたいのです」
中村自身、環境が悪いのなら、良い環境を自分でつくっていけばいい、とクラブの経営刷新を続けてきた。スピーディな判断力が求められる幾度の場面において、フィジカル・メンタル双方のタフネスは欠かせない要素だという中村は、経営者としてのロンジェビティ哲学をこう語る。
「体力がなければそもそも交渉のテーブルにつけない、ということも少なくありません。例えば、海外出張で飛行機移動を終えたその足でミーティングに参加せざるをえないこともある。体のコンディショニングに意識を向けることは、ビジネスパーソンとしてのパフォーマンスアップに間違いなく直結しているでしょう」
多忙な日々の合間を縫って、いかにウェルネスを高めるか。自宅や職場の限られたスペースでもさっとトレーニングができれば、ビジネスと健康とがよりリンクしやすくなるだろう。
Technogymが薦めるネットワーク接続型のダンベル「Technogym Connected Dumbbells」は、オフィス空間を邪魔しないコンパクトなデザインと、12個分のダンベルがひとつに集約された機能性を兼ね備えるトレーニングツールだ。一人ひとりのパーソナライズされた運動データ管理がされており、アプリに接続するだけで自分に必要なウェイトに合わせてすぐにトレーニングを始めることができる。

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「ダンベルを使ったウェイトトレーニングは、始めるまでが地味に面倒くさいんです。でも、自分に合った重さの調節、器具のもち運びが不要になれば、仕事に煮詰まったときにも気軽に体を動かすことができます。省スペースで、おしゃれな家電のようなデザインが、トレーニングへのモチベーションを高めてくれますね」

ウェルネスの機会を提供する総合スポーツクラブとして、東京ヴェルディは何ができるのか。ひとつの競技に閉じることなく、これから実現していきたいと考えているのが、「スポーツを通じた街づくり」だ。
「東京ヴェルディの親会社であるゼビオホールディングスは、“スポーツが身近にあるライフスタイル”を目指しています。そのなかで具体的に進めている一例が、ゼビオの本社機能を移管する宇都宮市での社会実装。スポーツテックのインキュベーション施設の新設や、本社機能ビル内に子どもからご年配の方まで、誰でも気軽に体を動かせる空間を用意する構想など、街で生活すること自体が、ヘルシーな心と体づくりにつながっていくような環境デザインをしていきたい」
東京ヴェルディでは、ヴェルディの名を冠するスポーツチームをサッカー含めて17競技で展開。バレーボールやトライアスロン、3x3バスケットボール、セパタクロー、チアダンス、野球などその種類は多岐にわたる。
「自分たちの街に、見たい、応援したい、やってみたいと思わせてくれるスポーツがあるということ。心と体の充足感を人々に提供するウェルネスカンパニーとして、これからも複数競技の発展に力を入れていきたいと思っています」
「Technogym Connected Dumbbells」
12段階のウェイトが一台に集約された革新的ダンベルは、忙しい40代以上のビジネスパーソンの健康投資にうってつけ。家具にも溶け込む洗練されたデザインも魅力だが、なんといっても画期的なのは専用アプリTechnogym Appと連携し、パフォーマンスに合わせた最適なトレーニングを提案してくれる点だ。日々の短時間でも効率的な筋力維持が可能になり、長期的な健康寿命延伸をサポートしてくれるだろう。

テクノジム ジャパン
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Technogym Connected Dumbbells
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なかむら・たかあき◎リクルート、A.T.カーニー、スポーツマーケティング会社を経て、2010年5月ゼビオ入社。11年4月クロススポーツマーケティング代表取締役社長、15年10月ゼビオホールディングス副社長執行役員。東京ヴェルディ代表取締役社長、アジアリーグアイスホッケーの東北フリーブレイズ代表取締役オーナー代行、3x3プロバスケリーグの3x3.EXEPREMIERコミッショナーも務める。